81

“愛がすべて”ではない。
 一般的には、愛より親切の方が役立つことが
                  多い。

82

                 シュール!
 ノックの音でドアを開けると、
そこには、“乙女心”が立っていた。
意外なことに“乙女心”の外見はおそろしくむさい男で、
「遅くなってすまない。ずっと忙しかったものだから」
というような言い訳をもごもごと口の中でしながら、
驚いている私の口を開け、まるで靴下でも履くように、
私の中にずるずると入ってきたのだった。
その瞬間、私の中に電撃のような感情が走った。
生まれて初めての、遅れてきた“乙女心”だった。

83

 子どもとみかんを食べながら、ふと「皮を剥かないでも、中にいくつ房が入ってるかわかる方法があるんだよ、知ってる?」なんて、数十年間ぶりに突然思い出したことを一緒にやってみたりするのも、子どもと暮らす楽しさのひとつだ。

84

人生で近道をしようとすることは、意味がないように思う。楽しみが減り、ゴールが近づくだけだ。
そしてそのゴールは、「死」だ。

85

 昔、『ZAZIE』という映画で、こんな台詞を書いたことがある。
 
「気が小さいとね、ひとつだけ良いことがあるんだ」
「え、なになに?」
「いっぱい、いろんなコトを感じられる」
「えー?」
「それでもまだ、知らない感情の方が多いんだ、きっと」
 
 死ぬまでにどれだけ沢山の感情を感じられるか。
 それが幸せの量なんじゃないかと、僕は思っている。
 
      だから、思い切り感じてやれ。

86

誰かにやってほしいもの。
「目をつぶって1分間たったら手を挙げて、ぴったりの人の勝ち」の1年版。

87

 シュール!
電車に乗っていると、ふと隣の男と目が合った。その男はこちらの顔を認めた一瞬、あれ、という表情になり、それから何かを言いたそうにこちらの顔を見つめた。
急いで記憶の隅を探ったが、知り合いではなかったので、さりげなく目をそらしたが、まだ男が自分の横顔をじっと見つめているのを感じ、居心地の悪い時間を過ごす。
やがて電車がホームに着き、ドアに向かう人の流れに目をやるふりをして視線を隣に泳がすと、再び男と目が合った。
男が一瞬身体を近づけてきたので、どきりとして身構えると、男はあたりを窺いながら、「お前が乗るのは今日じゃないだろ?」と、とがめるような囁き声で言い、ホームに降りていった。
自分に対する漠然とした不安が、全身に広がっていくのがわかった。

88

   去年聞いた中で、おそらく一番衝撃的な台詞。
「私、やなんですよ」
「なにが」
「口ン中、歯がいっぱいで」

89

  ATMの前に椅子を!
 昼休み時や月末のあの行列に並ぶと、客扱いされていない気持ちになる。妊婦でも老人でもハンディキャップでも、とにかく立って並べというのか?(実際、並ばされてる)
 「窓口では手数料が多くかかりますので」という慇懃な言葉も、貧乏人は立って並べという意味にしか聞こえない。
 もう少し効率の良い並び方とか、身体の悪い人は座っても待てるシステムを、銀行や郵便局は率先して考え出すべきだと思うのだが、大きな問題として取り上げられるまでは何もしないのは、日本人の体質なのだろうか。
 バリアフリーとかサービスって言葉だけだなあと感じる。

90

僕の猫背は生き方だ。
ほっといてもらいたい。
手をぶらんぶらんさせて歩くのも、
目が合った時にうんうんと頷くのも、そうなので。

91

 
“10年前に始めてれば”症候群

92


「どんな女の人が好きなんですか」と聞かれたりするけど、正直言うと、たいがいの女の人は好きだ。

93

あなたを信用しているのだから裏切らないで」 などと言う大人がいる。
 それは「信用していない」ということだ。
 そんな偽善の言葉なら、はっきりと疑われる方がましだ。
 そういう嘘を、僕は憎む。

94

シュール!
「20世紀の統計によると、『豆腐の角に頭をぶつけて』死亡した人は、なんと10万人に3人にも上るのだという。これは喉頭がんの発生率とほぼ一緒であり、今まで注目をされてこなかった事柄だが、かなりの数字だと言わざるを得ない。」

95

疲れると、後悔したり、疑心暗鬼になったり。
心はもろい。だから気をつける。
疲れすぎないように。休む。

96

ギャップ。
    半ライスを頼むおすもうさん。
    甘えん坊の大工さん。

97

満員電車も嫌だけど、停止信号のために駅の直前で停まってしまう時が、たまらない。
身体を動かすこともままならず、ただじっと停まった箱のなかで待っているあの時間。絶望感ってこういうことだと思う。

98


 
チャンスに恵まれていることに気づかない人を見ると、腹が立つ。

99

 無視をしない。
 大人だって傷つくのだから、子供にしていいはずがない。
 どんなに疲れていても、難しい考え事をしていても、とにかく、なるべく早く返事をしてあげる努力をする。相手をしてあげられないなら、それをちゃんと言う。納得してもらえなくても、説明することが大事だ。無視よりいい。
 育ててやっているという奢り。疲れているのだからという甘え。
 それを子供にぶつけてはいけない。

100

成長とは、幸福になることだと思う。
 逆に言えば、どんなに偉くなっても、どんなに出来ることが増えても、幸福を感じる時間が増えないのならば、それは成長とは呼べないんじゃないだろうか。