61


本当に好きなことだけしかしなかったら、
    きっと人生は余ってしまうと思う。

62


「つまらない」と言ってしまうのは、
 自分の想像力のなさを白状していること だ。

63

「あ、これ、おいしいかも。好きかも」なんて言い方を聞くようになって久しいが、いまだに馴れない。なんでそんな簡単なことを断言できんのだ、と、いらいらするのだ。
「ある意味正しいよね」とかいう言葉もそう。ある意味正しいということは、ある意味間違っているということで、何も言っていないのと同じだ。

64

「いっさい略語を使わない一日」
  いい? いっさい使わないんだからね。

65

「たとえ小さなものでも、絶対に嘘はつかない一日」
 これは本当に苦しい。「疲れてる?」と聞かれて、うっかり「そんなことないよ」なんて反射的に答えられない。他愛もないものから相手を気遣うものまで、普段の生活でどれだけ多くの嘘をついているかが、よくわかる。
下手すると、この一日だけで人間関係が大きく壊れる可能性がある。
僕は若い頃、これを、一日どころか一ヶ月以上続けたことがある。
人間関係も恋愛関係もぼろぼろになり、死ぬかと思った。
嘘をつかないために、黙り込むことが多くなった。
それでも、今日はひとつも嘘をつかなかったなと断言できる日は、ほとんどなかった。

66

いつでもひょいと降ろしてしまえるなら、
それは重荷を背負ったことにならないんじゃないか。

67

ポケットが象徴するものって、
「便利さ」ではなく、「楽しさ」だと思う。
 

68

 大事なことは、みんな、女性に教わってきた。
 ずっと、そう言ってきた。
 でも最近は、大事なことは、みんな、こどもから教わっている。

69

ルールとは、「遊びを面白くするためにわざと作る不自由さ」なのかなと思う。
暗黙の了解でなんとなく出来てしまった、というのはルールではない。
はっきりとした決まり事をわざと作ることによって、いろいろなことが際だって見えてくる。
「ルールは破られるためにある」という言葉は、ある意味正しい。
 
   ルールがあるからこそ、逸脱が際だつ。

70

なかんずく VS よしんば
 いや、別に意味はないんだけど、
  ふと頭に浮かんだものだから。

71

「見返してやりたい」と思うのは、
つまるところ、相手の土俵に乗っかってしまうということだ。
そんな土俵で、汚いルールで勝ったところで、何になる。
自分が汚れてしまうだけではないか。

72


「自分」という経験をすることにおいては、
      誰もが平等だと思う。

73

役に立たない特異体質を考えてみた。
へそでお茶を沸かせる人。
穴が空くほど見つめると、本当に穴を開けちゃう人。
恥ずかしいと顔から火が出るヤツ。

74

  会社って、10人いたら
      働いているのは3人だ。
 すべての責任を負おうと必死にがんばるのが2人。
 あとの1人は、指示されたことをこつこつとやり続ける奴。
 大きい会社になっても、社会全体でも、その割合は変わらないように見える。3人とか5人だと全員が力いっぱいがんばっていたりするのに。10人を越えると「集団」っていうものに変わっていくからだろうか。

75

子供にかぎらず、人間のいちばん可愛い仕草は、 手をつなぐ瞬間だと思う。
 

76

「自分が悪者になればいいんだ」なんて言葉を、本当に悪いことをやっていた人の口から聞くと、えっとなる。

77

説明ゼリフにこそ役者の力量がはっきり現れると感じる今日この頃。

78

「重厚」を「おもあつ」って読むと、
     なんだか重厚感がなくなるね。

79

子どもも、老人も、無心に何かを食べる。
   その姿を見て、ひとは、「可愛い」と思ったり、
   「汚い」と思ったりするのだ。
             無心は心を打つ

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 幸せは、ちょうど両手いっぱいぐらいしか持てないんだと思う。
もっと持ちたいと思った瞬間に、砂のように指の間からどんどん滑り落ちていって、前より量が減ってしまうのだと思う。別の幸福を手に入れようと思えば、そのぶん今までのいくらかをこぼさなければならないようになっているのだと思う。
どんなに欲張っても両手いっぱい。それが普遍の法則。宇宙の法則。
そしてそれが絶妙な幸せ。
時間もそうだと感じる。
足るを知る、ということだ。
失った方ばかりを見つめていることは無意味だ。
失ったら失った分だけの幸福も手に入る。
それを見つめ続けることこそが、大切だ。