221


日本の良いところは、
世界は日本だけじゃないってことを知っているところ。

222

 今日が最後の日だったとしても納得できる一日にする。
 選んだことは、迷わない。
 楽しみきる。

223

愛情というのも、ひとつの習慣なのかもしれない、なんて思う。
どれほど愛した人とも、会わないことに慣れていくように、
育児に感心のない父親だって、長い時間を掛ければ、愛情豊かな親になっていくのかもしれない。

224

    悔しさをバネにしたくないなあ。
 悔しくない方が、想像力も集中力も多い。
 悔しさが入ると、別の目的が忍び込むし。
 見かえすっていうのは、本来の目的じゃないんだよなあ。

225

自分でできる成長が頭打ちになった時が、
きっと、子どもを持つのに良い頃なんだと思う。

226

客を裏切りたいんだ」なんて口走る作家がいるけれど。
 どんなに想いを込めて注意深く作ったって、見る側からすれば裏切られた思いがすることが多いのに、わざわざ裏切ってどうすんだ、と思う。
 そこには、客の感情を思い通りに動かせると思い上がってる傲慢さと、好かれたがるくせに手の届かない存在でいたいという嫌らしさがある。
「いい意味で」って? なら裏切るなんて言葉使わないで、予想を鮮やかに超えてみせたいって、堂々と言えばいいじゃん。
 いずれにしろ、観客は一人一人違うことを感じるのだということを忘れてひとくくりにしてるし、その観客に対して愛情がないとことだけは、自分からばらしてしまっているよね。

227

突拍子もなく感じる意見というのは、ほんの少し修正を加えると、とんでもなく天才的な起死回生のアイデアになる可能性を秘めている。
「馬鹿馬鹿しい」と嗤ったり、「そんなこと言ったって」という意見で潰そうとするヤツこそが敵。

228

  不幸になりたがる人は、決して一人で不幸にはならず、
  自分のことを心配してくれる人を巻き込む。
  「不幸になりたい」という自分の欲望のために、
  善意の人を、道連れにするのだ。

229

誰にも助けてもらえないところにまで堕ちてしまいたい気持ちというのは、わからないことはない。
しかし、それは所詮、本当にはリアリティをもって想像してないということだ。
底の底まで降りて行って周りを見渡し、「ああ、やっぱりこういう場所だったか」と確認したところで、もう這い上がることは出来ない。
そして、それは自分が望んだ以上の地獄だ。
ファンタジーはない。堕ちた快感もない。ただ、地獄というだけだ。

230

  「待ち遠しい」っていう感情は、
   すばらしく気持ちの良いものだなあ。
        年々少なくなっていくから、よけいにそう思う。

231


 年がら年中 風邪をひきかけている気がする。

232

ぜったい誰かに助けてもらってるんだから、
    ひとりだけすごいってことはないやね。

233

やりたくないことを並べるのなんか、誰にでもできる。
そんな数いくら増やしても全然えらくない。
やりたいことをひとつやる方がえらい。

234

 自分をもてあまして、もがく人間は愛おしい。
 想像力が足りないせいで周りに沢山の迷惑をかけたとしても、
 それでいいんだと居直ったりもがくのをやめたりしない限り、
 やはり愛おしい。

235

しずくに すぎないんだ

236

年々知能レベルが落ちている気がする。
とっつきにくいものにはとっつかない自分がいる。
難しそうなものはそれだけで避けるクセがついている気がする。
難しいものと難しそうなものは違うのに。
難しそうということは、イコール、面白さの可能性を秘めているということじゃないんだろうか。

237

手当て。
娘が、時々、足が痛いからさすって、と言う。
だいたい月にいっぺんぐらい、たいがい寝る前に、それは起こる。
いわゆる成長痛というやつか、ストレスからくるものかわからないが、
足の内側が痛いらしく、寝つかれなくて可哀想だ。
湿布をしたりバンテリンを塗ったりもするが、さすってあげるのがいちばん良いようだ。
「少しはいい?」と聞くと、こくんと頷き、「もっとさすってて」と言う。
娘が寝つくまで、「いたいの、いたいの、なくなれー」などと囁きながら、明かりを消した中で足をさする。

「手当て」とは、よく言ったものだと思う。
手を当てることは治療の基本なのだなとわかる。
僕が熱を出した時、娘も、頭を優しく撫でてくれた。
撫でられるそばから治癒していく感じがした。
痛い時も、苦しい時も、不安な時も、とにかく手を当てる。
それですべてが治るとは言わないが、それは確実に効果がある。

238


いい加減なものを量産するぐらいだったら、
いいものをひとつ、人に紹介する方が、世界のためにいい。

239

甘えてはいけないとやたら子どもに言う親がいるけれど、
 その言葉の中にこそ甘えがある。
  「私だって甘えたいのに我慢してるんだから、
           あんたにばっかり得はさせないよ」
つまりは、そう言いたいわけだ。 

240

今の日本には、
『清潔な精神を持った偏屈じじい』
が足りない。